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人生で初の「読書会」なるものに勢いで「参加します!」と言ってしまったものの、自分には紹介する本が思いつかない、という事態にはたと気付いた。
思いつかない、というよりも、手元にない、と言う方が正しいか。
何せ図書館派の人間なので(ケチだから)、本棚はガラガラ。
そしてそれに気付いたのが、「読書会」前日(というか参加表明したのは2日前だったし)。
あわてて会社の帰りに、お題に合いそうな(「人生に役立つ、価値観が広がる」という題だった)本ということで「孟嘗君」を全5冊買った。
そして道々読んでみたら……
あれ、こんな話だったっけ?というか私、あらすじ言えるの!?
あわてて読みまくる。
でも2巻の途中で挫折……。何せ読み始めたのが夜中の12時過ぎ。
とまぁ、こういう経緯で読み終えた「孟嘗君」。
最初に読んだのは高校生、最後に読んだのは大学生。
でも今読んでも風洪が素敵です。
そして彼の初登場シーンを鮮明に覚えていたんだけど、覚えていた通りの描写だったことに我ながらびっくり;
髪を洗っている男の手がとまった。
(p50)
戸口に人の気配がした。
――女だな。
と、感じた男はふたたび髪を洗いはじめた。
この男の姓名は、風洪という。
髪を洗っている、というシーンから始まるのはこれ以外に見たことがない。しかもシャワーを浴びている(というかこの時代だと沐浴?)とかお風呂に入っているとかみたいに、体全体洗っているわけでなく、髪を洗っている。
なんかそこに艶やかさ(風洪は男だけど)と、爽やかさを感じた。
理由ははっきり言えないけど、「孟嘗君」と言えばこの髪を洗うシーン、という感じで、高校生の私の頭にインプットされ、再読した今でもこのシーンにはぐっときてしまうの。
何がこんなにツボなんだろう……
宮城谷昌光 「孟嘗君 1」 1998年 講談社
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