どうしても”1Q82″と言ってしまう・・・:村上春樹 「1Q84 BOOK2」

Book1を読み終わり、早速2を借り、そそくさ読んだ「1Q84」。
会社の先輩までも、私が借りてる同僚から借り始め、後ろに控えてると思うと妙なプレッシャーを感じて、えいやっ!とばかり、週末に読み終わりましたよ。といっても、今は厳密に言うと、月曜の朝2時過ぎたとこですが。

何はともあれ、青豆は「さきがけ」の創始者でありリーダーである人物を殺すことになり、天吾は孤立無援、次々に周囲の人が姿を消す事態となる。

Book1の時に、「青豆の世界は、もしかして天吾が書いてる世界でないの!?」と予想してましたが、そんなこともなく、ちゃんと同じ世界でしたとも。いやはやお恥ずかしい。
まぁとにかく、青豆はリーダーを殺しに行くと、リーダーはそれを既に知っており、それを喜んで受け入れようとする。

その時に青豆に色々と語るのだが、曰く彼の娘(つまりふかえりのこと)がリトル・ピープルを導きパシヴァ=知覚するものとなり、彼自身はレシヴァ=受け入れるものである。

この青豆が“1Q84”と認識している世界は、確かにそれまでの“1984年”と違うということ。
今、ここで彼を殺せば、リトル・ピープルにとって打撃を受けるので、天吾は無事だが、さもなくば天吾はリトル・ピープルの邪魔な存在として殺されるということ。でもリーダーを殺したら、その狂信者に青豆は殺されるだろう。
などなど語られる。

そして天吾のことを愛している青豆は、迷いなくリーダーを殺す。

本書でやっとふかえりが書き、天吾が書き直した「空気さなぎ」の内容が出てくるが、空気さなぎとは何かが具体的に語られる。

読む前から「続きがありそうな終わり方」という評判を聞いていたし、貸してくれた同僚も「面白くなってきた、と思ったら終わっちゃった」と言っていたが、確かに。

一応リトル・ピープルとか、空気さなぎとか、1Q84とかについて言及されて、さぁ材料は揃ったゾという感じなところで終わってしまう。
結局青豆と天吾は会えないし、リトル・ピープルと決着ついたのかも分からない。ついでに天吾は青豆に比べてそんな活躍してなくて、これから彼の出番!って感じもしなくはない。
でも私は、これが終わりだと思う。

最後が;
青豆をみつけよう、と天吾はあらためて心を定めた。何があろうと、そこがどのような世界であろうと、彼女が誰であろうと。

p501

で締めくくられているが、確か私が記憶する限り、「ねじまき鳥のクロニクル」もそんな感じで、そこに彼女がいるはずだ、というところで終わってなかったっけ?
何はともあれ、今回の悲しいところは、天吾の未来の希望が詰まったような言葉で終わってるけど、この物語の主人公として活躍してた青豆はもういないということ。

あれ?じゃあ、なんで空気さなぎに10才の青豆が?でもあれは天吾の空気さなぎだから、天吾の心の影(ドウタ)は青豆ってこと?

例によって村上春樹は示唆的で暗喩的ですが、眠くてもう考えられませんたい。
でも十分楽しませていただけました。

(村上春樹 「1Q84 BOOK2」 2009年 新潮社)

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