本屋で見つけて思わずタイトルに惹かれたのが「刀語」だった。
中身をまったく見ずに手帳に書き留め、すっかり忘れた頃に図書館で借りてみた。
そしたら先日散々苦手だと言っていたライトノベルだったよ!
薄い本なのになんかすらすら読み進められない。
例えば;
剣術の稽古――といった雰囲気ではない。
p8-9
どう見ても。
六人の男達は全員、よく知られた氷床道場の黒い道着に身を包み、それぞれ木刀を中段に構えているが――その木刀に囲まれている男の方は、驚くべきことに手ぶらである。控えめに考えてもとても穏やかで平和、牧歌的な場面とは言えそうもないが、しかしその男は、六人の男達には目もくれず、むしろ己の足元――道場の板張りを、気にしているようだ。
…(中略)…
うーん、と男は首を傾げるように――
足元を気にしている。
「どうかしたか?」
と。
少し離れた、道場の端の方から、そんな声。
なんで“――”が多用されてるの?どうして文章がぶちぶちと切れてるの?
とそれらに意味を見出そうと深読みして、“あり?”が続く。つくづく本を読む、というのはあるルールにそって読んでるんだな、と気づかされる。
話の内容はというと、時代ファンタジーになっていて、江戸時代がモデルでなってるであろう展開となっている。
主人公の鑢七花は他界した父親が島流しになった関係で、姉の七実と一緒に無人島で暮らしている。外の世界の記憶はまったくない七花は、代々鑢家に伝わる剣法虚刀流を守っている。
そんな彼の前に奇策士と名乗るとがめが現れる。
そして、刀を使わないという一風変わった虚刀流と敵対関係にあった、刀鍛冶・四季崎記紀が打った刀の因縁を語る。とがめの要件というのは、その刀鍛冶が打った千の刀のうち十二の刀を探し出すのを手伝う、というものだった。
どうやら12巻あるらしいのだが、ま、私はこの巻だけでいいかな。
(西尾維新 「刀語 第一話 絶刀・鉋」 2007年 講談社)
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