納涼と題して、怖かった本をトレードしよう!という話に、ホラーを読んでみたいなと思って参加表明をしたものの、はたとホラー小説の持ちネタが全然ないことに気付いた。
ということで、昔々、小林泰三氏の本が怖かったのを思い出して借りてみたのだが、怖いというよりグロだったな……
てか、よく考えたら怖いものといったら、グロばっかりしか読んでない気がしてならない…
グロはね~怖かぁないんだよ。グロいだけで。
うーん…「背の眼」も途中まで怖かったけど最後は怖くないし、「六番目の小夜子」も一箇所えらく怖かったけど、オチががくっとくるし…
閑話休題。
とりあえず収録作品を並べてみまっしょい。
「家に棲むもの」
なんか家にいるキモい化物みたいなばーさんの話。妖怪じみているので妖怪かと思いきや、なんか生きていた…
「食性」
可愛い子犬をかっさらって殺して食べてしまった元カノの反動で、ベジタリアンの女性と結婚してしまった主人公。そのベジタリアンぶりが常軌を脱していて…
「五人目の告白」
四人の人がそれぞれ告白しているが、すべて同じ事件のようで、それでいて主人公がまったく異なる。どうやら多重人格のよう。“五人目の告白”というところで、四人目の告白で出て来た看護婦らしき人が、主人公に感想を求める。どうやら看護婦も主人公も多重人格の人格の一部のよう…
「肉」
これが一番気持ち悪かった。
気持ち悪い動物ばかり発明している教授。乳が大量についている乳牛とか。その教授の助手をしている子が、教授に呼ばれて家に行くと、家自体が教授になっていた。
「森の中の少女」
ちょっと赤ずきんを彷彿とさせられる話。と思って読んでいたら、オオカミに育てられた少女であった。
「魔女の家」
魔女の家に行って毎日魔女に会った、という子供の頃自分が書いた日記を読む主人公。妻に内緒でその家に行って戻ると、自分に記憶が何もないことに気付く。再び魔女の家に行くと、魔女は子どもを抱えている。よく見てみると子供は自分。その子供の自分を起こし、夢から醒めさせるのだった。
「お祖父ちゃんの絵」
お祖母ちゃんが描いたという、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんの馴れ初めを描いた壁画を前に、その物語を孫に語るという形を取る。青年に惚れた少女(という歳でもないみたいだが)は、青年の絵を描きたいといって家に呼んで、最終的には監禁してしまう。最後に、孫自体も絵の中の人物ということが分かる。
なんか短くまとめてしまうと、身も蓋もない感じだけれども、読んでいる最中は本当に気持ち悪かった。
小林泰三 「家に棲むもの」 平成15年 角川書店
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