久しぶりの有栖川有栖は「かつて子どもだったあなたと少年少女のためのミステリーランド」シリーズより「虹果て村の秘密」でした。ま、肩慣らしにいいでしょ(偉そう)
このシリーズは、小野不由美が「くらのかみ」を出した時に噂で聞いていて、是非読んでみたかったのですが、装丁とかが凝っていると聞いていたのに、図書館で借りたせいで普通のハードカバー・・・ ま、カラーがふんだんに使われていて(しかも”虹”果て村のせいか、原色が使われている)、そこが違うのかな・・とは思ったけれども・・・・
話の結末は、正直、ええ!?そんな・・・というものだったけれど、推理部分はさすがお見事、面白かった!ちゃんと村の地図もあって、ミステリファンとしてはそこがワクワクするツボにもなったし。
あと、やっぱり子供向けとはいえども、有栖川有栖の人物描写は細かいな、と思わせるものでした。例えば、主人公格の優希のくせが、鼻の頭をなめることだとか、そしてそのくせを使うところがうまいな~という感じでした。それが直接事件に関係するわけではないけれども、話の本当にちょっとしたアクセントに使われている感がさすが!という感じだったのです。
この本を通して思ったのが、普段、大人向けを書いている人、というか児童文学者でない人が、子どものために書くのってチャレンジ的なものなんだなーと思ったのでした。普段の有栖川有栖を知っているものとしては、やっぱりどうしても物足らないところがあるし(ツッコミが少なすぎ!)。
とそのようなことを、子どもの心を忘れてしまった私は思ったのでした。
有栖川有栖氏のミステリーへ対する愛を感じたのは、あとがきのこの言葉でした;
あなたが「おもしろい。」と評価してくれるかどうか、わかりません。ちょっと心配。もしも「つまらない。」と思われたら、仕方のないこととあきれめます。でも、「推理小説はつまらない。」と決めないでください。運が悪かったと思って、どうか別の推理小説を手にしてくださいますように。
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