「書籍家<狐>の読書遺産」内の2組目の内、「思い出のマーニー」上巻が、2010年初の読了本となりました。
ちなみに対になっているのが「嵐が丘」で、それもほぼ読み終わりそうです。
「思い出のマーニー」は「嵐が丘」と打って変わって、ちょっとファンタジー的要素が入った物語。というかそもそも、「思い出のマーニー」は児童書なので、“愛と復讐の物語”といった態の「嵐が丘」とか比べ物にもならない。
ただ、どちらもイギリス人によりイギリスの物語で、登場人物が一癖あるのは共通点っちゃぁ共通点かもしれない。
でも物語が似ているかという点では、「秘密の花園」とか“グリーン・ノウシリーズ”の方が全然似ている。
主人公のアンナは、「秘密の花園」のメアリーのように一風変わった子で、大人より“扱いずらい子”という認定を受けている。
その上、アンナもメアリーと同じく孤児。
ミセス・プレストンに引き取られてロンドンに住んでいたが、彼女の“やってみようともしないこと”という習性がアダとなり、「田舎の空気にあたって元気になる」という名目の元、ノースフォークに住むミセス・プレストンの知り合いのペグ夫妻の元へ預けられることとなる。
ペグおじさんとおばさんは本当に良い人で、アンナのことをミセス・プレストンのようにやたらめったら心配することもなく、程よくほっといてくれる。
実際アンナは一人でいることが好きで、何しろ
パーティーだの、親友だの、お茶によばれるだのということは、ほかの人たちには、とても大切な、すばらしいことなのです。なぜかというと、ほかの人たちは、みんな、“内側の人”――なにか、目に見えない魔法の輪の内側にいる人だからです。でも、アンナ自身は、その輪の“外側”にいました。だから、ということは、アンナとは関係ないことなのでした。
(p12)
といった態なのだ。
そんなアンナだが、船着き場のある水辺近くにある、古い邸を見つけてから、そこへの関心が高まる。
いろいろ空想している内に、その家に住む同い年くらいの、マーニーという子に出会うのだった。
すっかり意気投合する二人。
でも二人は自分達の関係を秘密にしておきたくて、誰にも相手のことを話さないし、会う時もこっそり会う。
といった話だが、ちょっと謎を残したまま上巻が終わってしまう。
マーニーの存在が本当に謎で(何しろ、アンナがペグおじさん・おばさんのことを思い出したら姿が消えてしまうし、どうやらその時もマーニーからしたらアンナが消えてしまったらしい)、いろいろと憶測が出てくるが、下巻も手元にあることだし、変にあれこれ想像を書く前に下巻を読んでしまいます!
ジェーン・ロビンソン 「思い出のマーニー 上」 松野正子訳 1980年 岩波書店
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