“イギリス版若草物語”のSister of the Quantock Hillsシリーズ第二弾”Frances’ Story”。
第一弾は末っ子Sarahでしたが、今回は長女のFrances視線。
Sarah(と読者)が“Francesは一体どーゆーつもりで、Gabrielからの求婚を断り続けているのか、というかそもそもGabrielのことは好きなのか?”と思っていたことが、語られる内容になっている。
内容はほぼ”Sarah’s Story”と同じ。
母親が亡くなり、Mackenzie牧師が後見人となるところから始まり、まずSlade大学に行くFrances。そこだけで非難ごうごうだったのだが(財政的に厳しい+姉妹たちの面倒はどうするかetc.)、毅然と立ち向かうFrances。
でも実は、Francesには余裕がなかった、というのが本書で分かる。美術に対する情熱が強いので、なんとかその道を切り開きたい、でも果たしてSladeに入れるのか?
そんな緊張しまくるFrancesの心の支えになったのがMackenzie家の長男Gabrielだった。
でも実はGabrielはFrancesの才能を信じているわけでなかった・・・
なんていう葛藤も乗り越え、いつしか二人は愛し合うようになる。
そしてそこから始まる葛藤が結婚する・しない。
Francesには恐れがあって、それは結婚してしまうと絵が描けなくなる、というものだった。
というのは、4姉妹の母親も実は絵を描く人だったが、父親と結婚してから家事におわれて描かなくなってしまった。そして父親の死後、再び筆を取ったのだが、まったく描けなくなってしまっていたのだ。
そうこうしているうちに戦争が始まってしまう。
結婚を迫るGabriel。自分が死んだ時にFrancesに何か残したかったからなのだろうが、そんなことでFrancesが首を縦に振るわけもなく、頑として受け取らない。
Antonyの死から始まり、Gabrielの怪我、Geofferyの死などがMackenzie一家とFrances姉妹に襲う。
やっと戦争が終わりGabrielが帰ってきたと思ったらまたもやFrancesに求婚する。
・・・なんというか、Francesの頑固さもすごいけど、Gabrielもすごいなぁと思ってしまう。もう誰か他にいないのかい!Francesはそんなに良いのかい!!みたいな。
という読者(私だけかもだけど)のつっこみも空しく、Francesはやっぱり拒否し、今回はGabrielも堪忍袋の緒が切れたとばかりにIrelandの紛争に赴いてしまう。
と、ここまでがSara’s Storyにも出てくるのだが、本書はその続きが出てくる。
SarahがOxford Universityに受け入れられ(Scholorshipも)、それをMr. Mackenzieに報告している時、牧師館からFrancesに使者がやってくる。なんと、Gabrielが酷く怪我をして意識不明だというのだ!
Irelandに渡るFrances。
GabrielがIrelandに行ってしまってから、ずっと無視され続けていたFrancesは、まったく絵を描くことができずにいたのに更にこれが追い打ちになる。あんなに拒んでいた結婚も受け入れるようになる(やっと)。
結局Gabrielは目を覚まし、二人の仲は修復される。
Francesもやっとその気になったし、やっと結婚か!?と思いきや・・・
今度はGabrielが拒む。なんやねん!!!!このカップル!!!!!!
ま そんな感じで、はっきり”THE END”といった終わり方ではないけど、シリーズ物の一つと思うとそれでも良い方がいい気がしないでもない。
ここでちょっといいなと思った表現;
The rain hit them as they emerged from the shelter of the beeches. Driven by the wind it lashed them mercilessly as they came fown form the open slopes into the valley, sting their flesh with icy barbs, penetranting hair and clothing, piling misery onto silent misery.
(p221)
なんだかイギリスの雨を思い出した(アイルランドのシーンだけど)一節。
破天荒に見えるFrancesだけど、実は一番家族のことを愛していて、Sarahに関しては人一倍気を使っていて、それだからこそ妹たちがthe Quantock Hillsを離れていくことに寂しさと抵抗を感じる、ということがよく分かる1冊だった。
<Ruth Elwin Harris “Frances’ Story” 1987, Candlewick Press>
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