なんの根拠もないが、京大出身の作家ってなんとなく分かる。なんでだろうなぁ~
ただはっきり言えるのは、森見登美彦と万城目学が似てること。といいつつ、つい最近までは二人ともの作品を読んだことなかったけど。でも本の醸し出す雰囲気が似てたというか、なんというか。
そんな漠然とした思いで初めて読んだ万城目学作品「鴨川ホルモー」。
読み始めて直観が確信へ変わった。
やっぱ森見登美彦に似てるわ~
私が唯一読んだ彼の作品「夜は短し歩けよ乙女」と舞台がが同じ京都で京大(「夜は短し歩けよ乙女」でははっきり書かれていないけど)だからだろうか?
唯一、ここが似てる原因だろう、というのが;
目を閉じたまま俺は、これから延々と続くであろう真夏日の毎日を、本当に実家から送られてきたあの古い扇風機一台で乗り切ることができるのか、自問自答を繰り返した。否。…(中略)…できることなら、俺だって扇風機などさっさと見切りをつけ、豪放磊落にエアコン購入に踏み切りたい。だが、いかんせん金がない。…(中略)…「冷」を取るか「食」を取るか、滑稽なれど切実な問題が、そこには大きく横たわっていた。
p41
というような、四字熟語と格言的な文体で、非常に日常的なことを描くところが似てる気がする。
それはさておき。
この「ホルモー」というへんちくりんな名前は一体なんだ?と思って読み始めたのだが、それについてのお話だった。
ホルモーというのは、使役、またの名は式神・鬼を使って戦う競技のことで、選ばれた者のみがホルモーのサークルに勧誘され、戦うこととなる、由緒正しい秘戯だった。
ホルモーについてもう少し詳しく書くと、ホルモーのサークルがあるのは京大だけではなく、京都産業大学、立命館、龍谷大学にあり、それぞれ玄武組、白虎隊、フェニックス(朱雀ではやくざっぽいという理由で先代に改名されたらしい)と京都大学青竜会と称する。
一人につき百匹のオニがつき、計十人一組となって戦う。
実際には血を見ない戦いとなるのだが、もちろんオニも体力が消耗する。そして最後には消えてしまうらしいが、その消える直前にレーズンを与えると復活するらしい。
そのレーズン補給がうまくいかなくて、百匹のオニが全滅すると、それを保有していた人間は、「ホルモォォォォォォォ」と否応なく叫ばなくてはいけなくなる。
さて話の発端は主人公の安倍が、葵祭の行列の帰り道にサークルに勧誘されるところから始まる。
酒と食べ物目当てにやってきたコンパで、同学年の(つまり同じく勧誘されてやってきた)早良京子に一目ぼれしたのが運のつきだった。
早良京子会いたさにサークルに参加するようになり、挙句の果てにはホルモーに巻き込まれることとなるのだった。
うーん 結構期待していただけあって、今一な感じだった。
描かれる恋愛もちんけなものだし、さんざんサークルをこじれさせておきながら、しかも一旦サークルから抜けようとしていたくせに、最後には安倍が会長になるってどうよ!?と激しく思う。
う~ん 比べてはならないと重々承知だけど、森見登美彦の方が私は好みだな・・・
(万城目学 「鴨川ホルモー」 2006年 産業編集センター)
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