よく通る道のショーウィンドーにそのシリーズ全巻が並んでいて(多分出版社?)、とても気になっていた「心霊探偵八雲」シリーズ。ブックオフで見つけて買ってしまった第一作目「赤い瞳は知っている」。
予想していた通り、すらすら読める、割りと簡単な内容でした。そして予想外だったことは、一冊に一つの話が入っているわけではなく、3作はいっていたことでした。
主人公はその名も齊藤八雲。左目が生まれつき赤く、その目で死者の魂が見れるという。
話は(というかシリーズが?)小沢晴香が心霊関係の事件の解決を依頼に八雲のもとへ訪れたところから始まります。
八雲は伯父に引き取られてくらしているのですが、事情により大学の一角をサークル部屋としてのっとっていたのでした。
1に収録されているのは三つの事件。
まず「開かずの間」
大学のキャンパスのはずれにある雑木林の中の廃屋にて、肝試しをした大学生3人。そのうちの一人が晴香の友達だったのですが、その子の様子もおかしいし、もう一人の子も死んでしまうしで、八雲に捜査を頼むのですが、そのうちに殺人事件が発覚して・・・というお話。
次は「トンネルの闇」
トンネルはある意味、怪談の必須アイテムですが、夜中に読んだせいかちょっと怖かった。
これまた晴香が事件にまきこまれ(というか合コンで知り合った男に連れまわされ、そのトンネルに行ってしまう)、ひき逃げ事件の真相をつきつめることとなるのでした。
最後の話は「死者からの伝言」
これまた晴香の友達が中心となった事件なのでした。妻に毒を少しずつ盛られて死んでしまった男。今度はその妻が火事の焼け跡から死体となって見つかります。ところがその死体は、実は男の不倫相手だった晴香の友達だったのです・・・という話。
基本的な登場人物として八雲と晴香以外にもう一人、刑事の後藤がいるのですが、彼は八雲が子供のころ、母親に殺されそうになっているのを助けた時からの腐れ縁。色々と事件の捜査に協力させているのでした。
全体的に、本当にすらすら~と読める簡単なお話。ライトノベルの類なのでしょうか。
でも幽霊を調査しながら事件解決っていう設定が面白いし、エンターテイメントとして十分に楽しめました。
そんな中で霊魂についての解釈が面白かったです;
「幽霊の元は何だと思う?」
p164-165
…(中略)…
「生きた人間」
「ご名答。別に卵から生まれて来るのでも、宇宙からやって来るものでもない。元はちゃんと感情のある人間なんだよ。では、幽霊とはそもそも何だと思う?…(中略)…
これはあくまでぼくの持論だが、死んだ人間の意思というか、想いというか、そういったものの塊じゃないかと思う…(中略)…
人間の記憶や感情はつきつめると、電気信号だと言われている。インターネットを流れる情報の渦は、人間の脳の仕組み酷似しているなんて言う人もいる…(中略)…
そう考えると、器をなくしてしまった瞬間に、人間の感情がすべて無に帰するわけでもないだろ。電機は器がなくたって流れるし、ネットの情報は元々の器が失われても、他の器に移り住むわけだ。死んだ人間の想いや情念が、その辺をふらついていても、何の不思議もない」
現代風な解釈ですなァ
(神永学 「心霊探偵八雲1 赤い瞳は知っている」 平成20年 角川文庫)
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