アビシニアンって可愛いなぁ:柴田よしき 「消える密室の殺人―猫探偵正太郎上京―」


あまり途切れずに読んだ、正太郎シリーズ2作目「消える密室の殺人」。
やっぱり柴田よしき面白いな~
超くだらないところかもしれないけど、こんな感じなところとか妙にツボ↓

(デビッドとボウイという双子猫のどっちか分からない猫について話しているシーン)
だがこのデビッドじゃなければボウイのことは、好きそうにもなれそうもないな、と思った。確かに、勝負は最初からついていた。どう見てもタクローよりもデビッドあるいはボウイの方が敏捷で強靭、顎の力も脚力も強いだろう。…(中略)…だが、だからこそデビッドかもしれないしボウイなのかも、は、タクロ―を挑発するべきではないのか。…(中略)…まあしかしこの場合、先に余計なことを言ったのはタクローの方だったので、あながちデビッドええいめんどくさいどっちなんだいったいボウイばかりを責めることは出来ないのだが、それにしても、このデビッドもうどっちでもいいやボウイは底意地が悪いじゃないか。(p54)

さて今回の正太郎は、タイトルにある通り東京へ行く。
もちろん正太郎に意志ではなく、飼い主の桜川ひとみの突発的な行動により。

そしてその突発的に自分が世話になっている出版社に乗り込んだものだから、猫が泊まれる場所を見つけられず、その出版社がたまたま猫カレンダーを作っているとのことだったので、そこに正太郎を預けることになった。

ところがその夜、カメラマンと猫がトイレで死体となって見つかる。しかも、そのトイレはプレハブ小屋についているトイレだったのだが、そのプレハブ小屋には人がずっといたし、その人たちは犯人はおろか、被害者も見ていなかったという密室状態だった。

例によって人間の殺しには興味ない正太郎だが、猫を誰が殺したのか?という謎に挑む。
猫のくせにやたらと見事に解決する正太郎。
殺された猫の謎のついでに、殺人の方も片づける。
ここからネタばれ!


殺された猫が双子猫というのがミソで、人間の方も双子が絡む殺人事件だった。
そのカギを握るのが同じシャツを着た同一人物のはずである写真2枚。それを正太郎が発見したので、まぁ正太郎のお手柄となるわけだ。

正太郎の猫についての蘊蓄(?)がちょっと面倒臭いが、そのほかは面白い。
さらりと読めるのに、ちゃんとした推理小説というところがお得感がある。


柴田よしき 「消える密室の殺人―猫探偵正太郎上京―」 平成13年 角川書店

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